マニラ日記(4)オリエンテーション・ウィークⅠ


神学書の蔵書数で東洋一を誇るアテネオ・デ・マニラ大学神学部図書館にて。使用方法の説明を受ける第三修練者たち。
9月10日(金) オリエンテーション・ウィーク
 第三修練の第一週が無事に終わった。今週はオリエンテーション・ウィークということで、フィリピンの生活や第三修練についての注意事項の伝達、フィリピンの歴史や文化の学習などが中心だった。午前中は講義、午後は各自で学習というリズムで生活が整いつつある。運動不足を補うため、2日前からは早朝に大学のプールで泳ぐことにした。
 第三修練の初めに、一緒に暮らしている仲間たちのことを簡単に紹介しておきたい。わたしたちは今、修練長、修練長補佐も含めて7カ国から集まった11人で生活している。全員がイエズス会の司祭であることは言うまでもない。
 まず修練長のロジャー・シャンプー神父。彼はカナダ出身だが、もうフィリピンで30年以上生活している筋金入りの宣教師だ。心理学が専門で、毎年、第三修練がない半年間は大学で心理学を教えているという。第三修練長になって10年目。冗談が好きな人で、少なくとも彼の言うことの30%は冗談だと思ったほうがいい。彼のお蔭で、共同体からはいつも笑いが絶えない。
 修練長補佐をしてくれているのは、インドネシア人のプリオノ・マルワン神父。インドネシアの管区長も務めたことがある温厚な初老の紳士で、いつもその丸い顔にほほ笑みを浮かべている。フィリピンで10年ほど暮らしていたことがあり、英語にも熟達している。第三修練のない半年は、ジャカルタの大学で神学を教えているという。
 第三修練者の中でリーダー役を務めているのは、フィリピン人のフロージ神父。5年前に叙階された後、クリオン島ハンセン氏病患者さんたちの援助活動にあたっていた。医師の資格を持っており、わたしたちの健康管理にも気を使ってくれている。数年前には、第三修練者の一人がデング熱に罹っているのにいち早く気づき、適切な処置で症状を最小限に食い止めたこともあるという。
 もう一人のフィリピン人は、音楽家として有名なマニョリン・フランシスコ神父。彼の作った歌で、フィリピンの典礼音楽は抜本的に刷新されたと言われている。現在は音楽活動をしながら神学部で教えている。フィリピン有数の財閥アキノ家の血縁で、今の大統領ニノイ・アキノ氏は彼の従弟にあたるという。しかし少しも気取ったところはなく、とても人懐こい性格。大人になっても幼名のマニョリンで呼ばれ続けているのがとても自然に思える。

神学部の教室を見学する第三修練者たち。

神学部の屋上から見たマリキナ・バレー。昨年の台風の時には、この街全体が湖になったという。
近くの市場でココナッツジュースを飲んでいるところ。第三修練仲間が撮ってくれた。