カルカッタ報告(78)8月29日Fr.ジュリアス①


 車は15分ほどでM.C.ファーザーズの家の前に到着した。玄関の呼び鈴を鳴らすと、中から神学生らしい若者が出てきた。わたしが簡単に事情を話し、Fr.ジュリアスに会いたい旨を告げるとすぐ中に入れてくれた。
 応接室でしばらく待っていると、2階からFr.ジュリアスが下りてきた。15年前、まだ若々しい新米司祭だったFr.ジュリアスが、すっかり立派な神父さんになっているのに驚いた。お腹も少し出て、恰幅がよくなったようだった。
 わたしは彼が神学生から司祭になる場面に立ち会っている。ちょうどわたしがニムタラ・ガートで彼と一緒に住んでいる間に彼の叙階式があったからだ。それは、M.C.ファーザーズ初のインド人司祭が誕生する瞬間でもあった。カルカッタ郊外にある大きな教会に、マザーを初めカルカッタ中から数百人のシスターが詰めかけて、それは盛大な式が行われた。その頃わたしは何か大きな式があるたびにシスターたちから写真係を頼まれて写真を撮っていたが、その時もわたしは写真係をしていた。
 叙階式の翌日、マザー・ハウスで彼の初ミサが行われた。その時の様子も忘れられない。奉献文の最中、彼が御聖体を高々と天に捧げた時、わたしはその姿にとても感動した。彼の姿を見ながら、世界の隅々にまで行って、こうやってはっきりと目に見える形で神の愛を宣言できる司祭という職務はなんとすばらしいんだろうと心から思った。あのときの感動が、司祭職に向けてわたしを後押ししたことは間違いがない。
 Fr.ジュリアスは、わたしを2階の食堂に案内してくれた。コーヒーを飲みながら、わたしたちはしばらくのあいだ昔話に花を咲かせた。
※写真の解説…Fr.ジュリアスと一緒に。