カルカッタ報告(3)8月25日朝のミサ

8月25日(火) 再会

 昨日の晩は、目覚ましをかけないでベッドに入った。長旅の疲れをとるためにゆっくり寝て、9時頃みんなでマザー・ハウスに行く予定にしていたからだ。だが、カルカッタについた興奮で目がさえてなかなか寝付くことができなかった。
 明け方少しうとうとし、目が覚めると6時ちょっと前だった。マザー・ハウスで朝のミサが始まる時間だ。これ以上寝ていても仕方がないと思って、身支度をして大急ぎでマザー・ハウスに向かった。14年ぶりに"Mother Teresa IN"(マザー・テレサ在宅)の表札がつけられたドアの前に立ち、鎖を引いて呼び鈴をならした。一番最初にマザー・ハウスを訪ねたときと同じような気持ちで、どきどきしながらドアが開くのをしばらく待っていると、まもなくシスターがドアを開けてくれた。
 そのシスターの姿を見たとき、まず心を打たれた。かすかに浮かべた微笑、落ち着きのある物腰などから聖性があふれだしていたからだ。ミサに備えて祈っているときに呼び出してしまったのだろう。
 2階に上がって聖堂に入ると、ミサがちょうど始まるところだった。ボランティアが座る場所はほとんど埋め尽くされていたが、なんとか隙間を見つけて床に座った。司式司祭は、ヨーロッパ系の顔立ちの70代くらいの司祭だった。どこかで見たことがあると思って見つめているうちに思い出した。間違いなく、イエズス会のアベロ神父だ。14年前にも彼はここでミサを立てていた。あたりを見回すと、聖堂の様子も、シスターやボランティアたちの様子も、まるであの頃のままだ。わたしは14年前に戻ったような気持でミサにあずかった。
※写真の解説…マザー・ハウス中庭のマリア像。