カルカッタ報告(17)8月25日Sr.プレマ①


 マザーの墓でのミサの後、2階の事務室の前で「神の愛の宣教者会」現総会長のSr.プレマと会った。今年の3月、Sr.ニルマラの跡を継いで3代目の総会長に選出されたばかりのシスターだ。
 新聞報道などによれば、Sr.プレマは1953年にドイツのウェストファリア州で生まれたドイツ人だ。若いころにマルコム・マゲリッジの名著『何か美しいことを神様のために』(Something Beautiful for God)を読んで感動し、1980年にドイツを訪れたマザーと直接会ったのをきっかけにして「神の愛の宣教者会」に入会したという。入会後は、ローマやドイツで働き、ドイツの管区長を務めたこともあるという。
 今年3月の選挙では、マザーの帰天後12年間「神の愛の宣教者会」を指導してきたSr.ニルマラが再選されたのだが、その後、Sr.ニルマラが健康の悪化のために職務を遂行できない状況になった。そこでもう一度、選挙をやり直し、Sr.プレマが総会長に選出されたと聞いている。
 わたしたちが事務室の前で待っていると、聖堂の方から大柄な白人のシスターが歩いてきた。こちらを見てにこにこ笑っている。Sr.クリスティーに紹介されて、それがSr.プレマだとわかった。第一声は「あなたがポール神父ですね。Sr.マーガレット・メリーから聞いています」だった。どうやら彼女は、みんなにわたしのことを話していたらしい。
 簡単に自己紹介をし、今回が14年ぶりのカルカッタだと説明すると、Sr.プレマは「あなたの教区の信者さんたちは、あなたが戻ってこないんじゃないかときっと心配しているでしょうね」とほほ笑みながら言った。わたしが「そんなことはありません。わたしが冗談で、このまま帰ってこないかもしれないとある信者さんに話したら、その人は一瞬考えて『あなたのようなだらしない神父がカルカッタにいつまでもいられるはずがない』と言いました」と笑いながら答えると、Sr.プレマはすかさず「そんな信者は、がっかりさせてしまいなさい」と応じた。つまり、このままカルカッタに残りなさいということだ。
 このやり取りで、わたしは彼女がすっかり気に入ってしまった。本当に気さくで話しやすい人だ。それに、ただ陽気なだけでなく、霊的な深みをもった人だということも表情やしぐさからうかがえる。 
 今回、Sr.プレマと面会を申し出た最大の目的は、六甲教会の何人かの信徒の方々から預かってきた献金を彼女に渡すことだった。
 六甲教会でカルカッタ訪問計画を公表して数日後、わたしが教会の事務室に行くとわたしの書類箱に分厚い封筒が入っていた。なんだろうと思って開けてみると、お札のようなものが入っている。おもちゃでお札のようなデザインのノートを見たことがあるので、初めそれかなと思った。だが封筒から出してみると、それはなんと100万円の札束だった。信徒のあるご婦人が持ってきてくださったという。
 後でご本人に確認すると、神様からいただいたお金なので、マザー・テレサの活動のために役立ててほしいとのことだった。障害を負ったお子さんのいるご家庭なので、決してお金が余っている人というわけではない。おそらく、自分たち自身いろいろな苦労をしている人たちの方が、困難の中に置かれている他の人々への共感が深いのだろう。マザーが言っていた通りだと、話を聞きながらわたしは深く感動した。
 ※写真の解説…Sr.プレマに献金を手渡しているところ。撮影、S.A.さん。