祈りの小箱(172)『わたしたちの平和』


『わたしたちの平和』
 「わたしたちの平和を守る」という言い方をすることがあります。このように言うとき、「わたしたち」の範囲がとても大切です。守る平和は、誰の平和なのかということです。「わたしたち」が自分の家族のことなら、「わたしたちの平和」とは自分の家族の幸せな生活のことです。もし他の家族がその邪魔をすれば、平和を守るために争いになるでしょう。「わたしたち」が、同じ国に住む人たちのことなら、「わたしたちの平和」とは自分の国の平和のことです。もし他の国がその邪魔をすれば、平和を守るために争いになるかもしれません。「わたしたち」の範囲が家族や地域、国などの場合、「わたしたちの平和」を守るために戦争するという矛盾が生まれてくるのです。
 そのような矛盾を生まない唯一の道は、「わたしたち」の範囲を地球上のすべての人にすることです。地球上のすべての人が幸せになれる世界を実現していくことこそ、争いを生まない唯一の道なのです。敵として排除される人は誰もいません。敵がいないのですから、もう「守る」という言い方も必要なくなるでしょう。「わたしたちの平和」を、じっくり話しあいながら一緒に作り上げてゆくだけです。「わたしたちの平和」は、守るものではなく、一緒に作り上げて行くものなのです。
 地球上の誰一人として排除されることがない平和、それこそ、キリストの平和です。キリストの平和を実現しようとするとき、わたしたちには敵など誰もいないのです。相手が自分にとってどれほど好ましくない存在であったとしても、その人と一緒に平和を作り上げて行くのです。一人ひとりが心を最大限にまで広げ、この地球に真の平和、キリストの平和を実現していくことができますように。
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