フォト・エッセイ(13) 三室戸寺のアジサイ


 宇治の三室戸寺までアジサイを見に行ってきた。最初は近場で咲いているところを探したのだが、六甲山のアジサイはまだ咲いておらず、須磨離宮公園は木曜日が定休日だということが分かったので、「どこかいいところがないかなぁ」とインターネットで関西のアジサイ名所を探しているうちに三室戸寺のホームページを見つけた。ちょっと遠かったが、まあ電車に乗るのも楽しみのうちなのでいいかと思って出かけてきた。
 着いてまず、規模の大きさに驚いた。あれだけの広さにアジサイばかり植えてある場所は、全国的にも珍しいのではないだろうか。これまでに福岡の箱崎宮や鎌倉の名月院など何箇所かアジサイの名所と呼ばれているところに行ったことがあるが、それらに勝るとも劣らないほど規模だと思う。あたり一面がアジサイの花で埋め尽くされているという感じだった。
 人が多かったのであまり落ち着いて見ることはできなかったのだが、歩いているうちになんとも言えない幸福感が湧き上がってきた。教会では毎日いろいろな人々との出会いの中でたくさんの恵みを与えられるし、お休みの日にはこうして自然の美しさに心を慰められるし、なんて幸せな日々なんだろうという感じだ。ほとんどの人が友人や家族と来ている中を1人だけで歩きまわっている「カメラマンのおじさん」であるわたしを見て気の毒に思った人もいるかもしれないが、わたしとしては内的にとても満たされた時間だった。いつまでも続くものではないのかもしれないが、それだけに今のこの幸せを心から神に感謝したいと思う。




※写真の解説…三室戸寺の境内に咲いたアジサイ。境内に約10,000株のアジサイが植えられているという。