祈りの小箱(56)『一緒に跪くことから』


『一緒に跪くことから』
 前回、「もし自分のことを棚に上げるなら、あなたたちはぶつぶつ言い始めるでしょう」というマザー・テレサの言葉をご紹介しました。他人について、あるいは自分が置かれた状況について不平不満をぶちまけるとき、ほとんどの場合わたしたちは自分のことをすっかり棚に上げてしまっています。そして、まるで全知全能、完全無欠な神であるかのような口ぶりで話しているのです。
 そのような態度で話すことは、一時的なストレス発散にはなるかもしれません。ですが、それで状況がよくなることは決してないでしょう。そのようにして語られる言葉は、結局のところ、独りよがりで偏った判断や思いに過ぎないからです。そのような言葉を相手が受け入れることはないでしょうし、仮に受け入れたとしてもそれで状況が改善するとは思えません。
 自分を神の立場において話しているとき、わたしたちは自分自身の弱さや不完全さについてすっかり目をつぶってしまっています。それが大きな問題です。わたしたちが直面している人間関係のもつれや困難な状況は、ほとんどの場合、相手の弱さや不完全さと自分自身の弱さや不完全さがもつれあい、絡み合って出来上がっているからです。その状況を改善したいなら、相手の弱さや不完全さを並べ立てるだけでなく、自分自身の弱さや不完全さも直視しなければなりません。
 さらにやっかいなのは、わたしたちは自分自身の弱さや不完全さについて十分に知らないということです。自分のことさえよく知らないのですから、相手についてはなおさらでしょう。自分のことも相手のことも知らないままま、裁き続け、不平を言い続けていて状況がよくなるはずがありません。一番いいのは、互いの限界を認め合い、神の前に跪くことです。そうすれば、わたしたちのすべてをご存知の神様が、一番よい道をしめして下さるでしょう。困難な状況に直面したときには、まず神の前に跪くことから始めたいと思います。
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